イルーナ

ポーリーのイルーナのレビュー・感想・評価

ポーリー(1998年製作の映画)
4.5
知名度は低い(Mark数252)ながらも、ここFilmarksで非常に高い評価(平均点4.1)を得ている本作。
子供の頃にインコを飼っていたことがあるだけに、鳥が好きなので気になっていたのですが……

とある研究室に清掃員として雇われたロシア人ミーシャ。
彼は地下室に閉じこめられていたトガリオインコのポーリーを見つける。
人間と完璧なコミュニケーションを取れる程の天才インコポーリーは、自らの身の上を語り始める……

「3歩で忘れる鳥頭」などと言いますが、近年になって、鳥類の知能面でのポテンシャルの高さが一般に知られるようになってきております。
「天才ヨウム・アレックス」や「アレクサと会話して買い物するヨウム」などのエピソード、動物言語学の登場で明かされてきたシジュウカラの言語能力の高さ(文法の概念があるばかりか、混群を作る関係上マルチリンガルでもある!)。
しかし、90年代はまだ「インコがお喋りするのは、所詮人間のマネをしてるだけなのでコミュニケーションできない」って人が多かったのでしょうか。
それだけに父親の無理解や、研究所での扱いが観ていて辛い。というかマリーが子供持っていてもおかしくない歳になっていたって、一体何年あそこに閉じこめられていたんだ……(涙)
吃音のマリーも両親の関係が悪いのを理解しているし、喋りたくても上手く喋れないってのが伝わってくるからなおさらお辛い……(涙)
行き違いで離れ離れになったとかじゃなくて、無理解から引き離されたってのがもう。
「一番大切なものは、奪われる運命にあるらしい」の言葉で、『マロナの幻想的な物語り』を思い出しちゃったよ。幸せは不幸の休息にすぎない……
ミーシャのエピソードも、短いながらかなり人生の重みを感じるものがありました。
このように、ファミリー映画と言われてますけど、なかなか文学的な重みすら感じさせるものがあります。

そんな波乱万丈な鳥生のポーリーは様々な人たちと出会うわけですが、どれも印象的。
未亡人のおばあさん・アイビーとの旅路で、アイビーが失明したあと言葉で夕陽の美しさを伝え、死後にグランドキャニオンでそれを拝むエピソードは美しかったです。
その後はメキシコ人・イグナシオの元で他のインコとショーをやったり、詐欺師ベニーからATMの引き出し方を教わったり。
これらの動きは一体どうやって撮影したんだ?どこまでが本物の演技なんだ?ほとんどが本物らしいけど、リアルと遜色ない動きや表情のアニマトロニクスの技術もすごい!
あと、やっぱり鳥はかわいい!

まさに「隠れた名作」がふさわしい作品でした。
イルーナ

イルーナ