ひろあき

スラムドッグ$ミリオネアのひろあきのレビュー・感想・評価

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)
4.3
インド帰りに見ると感動する。インドを旅行中の俺はバクシーシをねだる(乞食をする)子ども、老人、障害者を全てシカトしたし、心が動くこともなかった。クソガキにタバコを盗まれても怒ることはなかった。何故なら自分がどんな行動をとろうが、世界は何も変わらないこと感じさせる圧倒的な貧困がインドにはあったから。それでも日本に帰国して、安全な場所でもう一度その貧困をこの映画で直視すると、やはり先進国の住人として罪悪感や同情の感を禁じ得ない。映画の中くらいはスラムの人間がこういう人生を送り、貧困層の心の救いや希望になればいいと思う。
映画の感想としては、兄貴がかっこ良かった。人生の大半は悪人だが、それも環境に起因するものが大きいし、その中で弟と違って自分の力で運命を掴んできたのが偉い。しかし本人は、生きていく中で背負ってきた業を環境のせいと開き直ることもなく、ヒンドゥーの神々に赦しを乞い、最期に自分なりの決着を付ける。一本の筋を通し、動物としての根源的欲望である生存欲求を超える価値観に生きた彼は人として美しい。

「これがインドの真実です」「アメリカの真実を見せてあげる」のシーンは笑いながら泣きそうになってしまった
ひろあき

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