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消えたシモン・ヴェルネールの4423のレビュー・感想・評価

5.0
シモン・ヴェルネールの失踪というただひとつの事実が、学校という集団の塊によって噂や幻想と混じり合っていく様はまさしく自分が学生時代に体験したものと同じような気がした。

ひとつ上の先輩が妊娠したらしいが、相手は隣のクラスのやつだとか、先生同士が付き合っているだとか、学校に突然来なくなった子も何人かいたし、その理由も生徒間で様々飛び交ったりしていたが、本当のことは今となっては分からない。

集団生活における情報の伝染と伝播は凄まじいものがある。監督自身も学生時代にこういった体験をしたことがあるらしく、それが本作のベースになっているそうだ。

ひとつのシーンを別の角度で映し出していくという手法は今となっては真新しいものではなくなってしまったが、キャラクターの造形がきめ細かいので非常に密度の高い作品に仕上がっている。なんでもキャラクターそれぞれの特徴(家族との関係、好きな映画、好きな音楽など)をリストにし、役者たちに手渡したとのことだが、こういった一工夫があるのとないのとではやはり質が違ってくる。

にしてもフランスのかわいい男の子たちがたくさん出てきて眼福である。私はラビエ役のアルチュール・マゼが一番好きかな。あのダサルックスが逆に目を引くというか。

あとソニック・ユースの音楽が反則的にカッコよすぎる。ファブリス・ゴベールのカリスマ的なセンスの良さに今後期待したい。
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