原作読了済み。2時間という尺では原作のもつ圧倒的な情景・心理描写を細部まで描けているとは言い難く、物足りなかった。
ストラザーンの老練な雰囲気をもつ弁護士役はとても良い。
このレビューはネタバレを含みます
・海外児童文学を彷彿とさせるタイトルの皮をかぶったとんでもない化物。
・説明不足な点もあるけど、とにかく映像美に圧倒される。
・五実役の久野美咲の演技がすごすぎた(叫び声、泣き声だけでここまで表現>>続きを読む
わずか8分間のなかに人生というものを詰めこんだノスタルジーな作品。線画ふうの素朴なタッチがとても味わい深く、人物の表情すらうかがい知ることができないのがとても良い。
車輪が回転するたびに少しずつ時を>>続きを読む
人間性が腐っているからか、酸素ボンベが切れてじいさん溺死しちゃうんじゃないの? とずっとうがった見方をしてしまいました。もちろん、そんな映画ではございません。
海外の短編アニメを彷彿とさせる素朴なタ>>続きを読む
終始手堅い作りで音もたてずにじわりと引き込まれていく作風が良い。派手な銃撃戦やカーチェイスなどなくとも、おもしろい映画はたくさんあるのだ。
呪われた血筋を断ち切る話……といえば聞こえはいいが、親のし>>続きを読む
無秩序に伸びる植物を恐れる風変わりな女性が荒れ果てた庭の手入れをする話。「グリーンフィンガーズ」のおとぎ話版という感じ。
太陽と月のひかりで羽ばたく機械仕掛けの鳥を作る彼とか、子持ち男やもめの料理人>>続きを読む
昼咲き月見草の押し花を手に、彼女は海を渡る。イタリアからオーストラリアへ。
写真に恋をした女の物語、いいや、すべてはジョバンニ・リビシの演技を楽しむためのものだ。アメリア・ワーナーは当たり前のように>>続きを読む
亡くなった夫に瓜二つの人間を愛してしまう女の話。
父親の死後、「町でお父さんにそっくりな人を見かけたの! もういないとわかっているのにとてもドキドキした」 という監督の母親の実体験がもとになっている>>続きを読む
何だかんだ言ってトム・ハンクスが出ている映画にハズレなし。もはや困り顔で棒立ちしているだけでも笑えてくるから困る。
ストーリーは「パリ空港の人々」のアメリカ版と言ったところだが、ある側面から見れば親>>続きを読む
カトリックという規律に縛られて育ったアイリッシュ3兄弟の話。
毒にも薬にもならないような会話劇が延々と続くので正直なところつまらなかった。物語を彩るケルト音楽はとても良い。
石油ストーブの前でコン>>続きを読む
けっこうな胸糞映画。実際に大物を退場させることでマスコミはタブロイド化に拍車をかけていくという構図をやりたかっただけのような気もする。結局のところ、どの国もマスゴミはマスゴミにしかなれない。
ヴェラ>>続きを読む
厳しい戒律で知られるグランド・シャルトルーズ修道院で暮らす修道士たちの生活を映し出したドキュメンタリー。音楽なし、ナレーションなし、照明なし、入れるのは監督のみという厳しい条件のもとで撮影された。>>続きを読む
・冒頭20分の地獄絵図
・厨ニ心くすぐるジャクソンとかいう神スナイパー
・トム・サイズモアとポール・ジアマッティ演じる愛すべき小太り軍曹たち
・壁が崩れて敵さんとお見合いシーン
・「アパム、弾持ってこ>>続きを読む
北極圏の原生林で生活する実在の狩人、ノーマン・ウィンターの狩りや暮らしをドキュメンタリー風に追ったもの。
フィクションとノンフィクションの狭間にあるような作風だが、徹底したリアリティーが素晴らしい。>>続きを読む
「俺が死んだら故郷に埋めてくれ」
創作においてはよく見かける言葉だが、それを実際に実践した人間は果たしてどのくらいいるのだろうか。
タイトル通り、メルキアデス・エストラーダという人間が3回、埋葬さ>>続きを読む
第2バチカン公会議により、それまでキリストの花嫁という確たる地位にあった修道女たちは、一般の信徒と同じ身分に降格する。その決定により神との繋がりを遮断されたのべ9万人もの修道女たちが信仰を捨て、修道院>>続きを読む
シアーシャ・ローナンもアレクシス・ブレデルも抜群にかわいいが、そのかわいさを平然と凌駕するジェームズ・ガンドルフィーニの存在が素晴らしい。こんなお父ちゃんが欲しかった。
ピザのボックスを持ち、尼僧姿>>続きを読む
おっさんがさめざめと泣くシーンのある映画は間違いなく傑作である。男が静かに泣く映画ってほんと大好き。
昏睡状態に陥った女性を愛する男たちの物語だが、映画だから、作り物だから許される究極の純愛表現のよ>>続きを読む
黄金にきらめく麦畑、麦を揺らす風、人影、動物――もしも天国と呼べる場所があるのなら、こういうところなのかもしれない。とはいえ、所詮生きている人間が造り上げた人工的なものでしかなく、〝天国の日々〟もいず>>続きを読む
宮古島(ミャーク)にひそやかに唄い継がれる神歌と古謡(アーク)の唄い手たちを追ったドキュメンタリー。
ふだん我々が当たり前のようにイメージする宮古島とはまったく違う、底知れない深い部分を見ているよう>>続きを読む
「時間をかけた自殺」、「ショパンと同じように彼はピアノのために曲を作った」、「他人と関わりすぎたゆえにとても多くの人々を傷つけた」、「演奏に自信が持てないこともあった」
自分が生まれる前に死んだ人の>>続きを読む
不器用で、大雑把、空気が読めない、間が悪い――わかりそうでわからない、フランシスのこと。
バームバック作品は、わたしのなかに内蔵されている感性とことごとく合わないので、本作も話そのものはさほど刺さら>>続きを読む
レディ・バード――じぶんで作った名前。ほんとうの名前ではない。
子供のころ、望んでもいないのにかってに与えられた名前が気にくわなくて、己のなかで名前を改名した経験があるひとはぶっ刺さるとおもう。>>続きを読む
交通事故に遭い、別々の病室で眠り続けるふたりの男女。いつしか彼らは病室を越え、互いの夢のなかで邂逅し、恋に落ちていくが……。
これは夢なのか、現実なのか。ありきたりではない一風変わったシナリオがよか>>続きを読む
手話が出てくる映画がすきなんです、といったのはだれだっただろう。
これは聾唖の両親を持つ少女ララのものがたりである。幼いころより両親の〝通訳〟として生きてきた彼女は、反発するように音楽の道へと救いを>>続きを読む
要約すると聖地ルルドにて奇蹟が起きてクリスティーヌが立った! という話だが、奇蹟が起きるまでの道のりが長く、そこまでの過程と奇蹟にすがる人間の醜態をていねいに織り込んでいく作風である。
さほど信仰心>>続きを読む
浮き雲――空に浮かんで漂う雲のこと。転じて、不安定でどこへ漂うかわからない身上のこと。
互いに失業してしまった中年夫婦のものがたり。だれもかれも口数がすくなく、余白の多い映画である。カウリスマキの映>>続きを読む
田舎町にうんざりしたさえない中年おじさんふたりによる白黒ミニ・ロードムービー。
とりたててなにか起きるということもなく、出てくる人間たちもおもしろいくらいに無表情顔をキメる。
なんてことはない作品>>続きを読む
〝宝くじに当選しました〟という、あからさまにうさんくさい手紙を信じる老人ウディは、賞金を受けとるため、モンタナ州からネブラスカ州リンカーンまで歩いて取りに行くと言ってきかない。
アル中で認知症のウデ>>続きを読む
狂言殺人が現実になっていく話。キーワードは「死んだかと思った」。
ビリー・ボブ・ソーントンとマルコヴィッチの存在感はさすがだが、とにかくマイケル・スタールバーグの〝こころ〟が破壊されつくした演技がお>>続きを読む
冒険活劇、裏切り、脱獄、華麗なる転身、ロマンス、そして復讐。バラエティに富んだ要素がふんだんに盛り込まれているのが楽しい。
とりわけイフ城脱獄シーンでは、そういうやり方があるのか!? と感動すら覚え>>続きを読む
最愛の妻を亡くしたマークは、その死を受け入れられないまま二歳の息子アイザックと二人きりの生活を送っているが……。
マーク・ウェバーが彼の実の息子と共演したホームドラマ。実の親子だからこそ生み出せた自>>続きを読む
クリスマスを間近に控えたシカゴ。うだつのあがらないタクシードライバーの男が拾うのは、どいつもこいつも妙な客ばかりで……。
運転手と彼のタクシーに乗り込む乗客とのやりとりがメインだが、ポール・ディロン>>続きを読む