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春の珍事のくりふのレビュー・感想・評価

春の珍事(1949年製作の映画)
3.5
【不正でハッピー】

店頭で見つけたので借りてみた。

子供の頃に読んだ、山田宏一&和田誠の対談でベタ褒めしていたのが記憶にあったのです。1949年作の直球コメディ。底抜けに明るいのは、これからアメリカが黄金の50年代に入ってゆく前兆でしょうか。

レイ・ミランド扮する、化学を教える大学教授が主人公。ある理由で必要な資金を得るため発明に没頭するが事故に遭う。しかしその結果、別のチカラを手にしてなんと、いきなりプロ野球の投手としてデビュー、連勝を続けて時の人となるが…というお話し。

確かに、楽しい。一気にみられました。捻りは全くありません。リアルタイムで体験したら、ニコニコして映画館を後にしたろうな、と想像できます。

が、今みると手放しでは喜べないですね。そもそも、主人公は不正行為でプロ野球の選手となり、勝つのも本人の実力ではないわけです。で、いつかバレてどうなるやらと思ったらえええ!!!???

…一応、主人公は愛のためそれを行う善人として描かれますが…これでよくヘイズ・コードに引っかからなかったなあ(笑)。彼の言動は、ニッポンの平均に近いと思いましたけど。

レイ・ミランドって私は、腹に一物ありそうなジェームズ・ステュアート、という感じがするので、その意味からはこの役、合っていました。

相手役ジーン・ピーターズさんも直球に可愛らしかったです。

「巨人の星」の大リーグボール3号って、どうやら本作がヒントになったようですね。漫画本編でその話題が出て来るとか。

映画本編での、それにまつわる特撮は、もちろん今みるとチープですが、世界観にはピタリと合っていて思わず笑った。あのひょ~ん、という効果音がいかにもでステキ。

<2015.3.4記>
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