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新座頭市物語 笠間の血祭りのcatmanのレビュー・感想・評価

3.9
1973年公開。劇場版シリーズのひとまず最後となる25作目。同じ勝プロの制作ながら勝新が監督した過激でエキセントリックな前作の反動なのか、かなりオーソドックスな作り。悪役もヒロインも些か魅力に乏しく、志村喬も無駄遣い、いっつぁんも普通にいい人になっていて退屈してしまうんだけど、終盤に市がいきなりヤクザの本領を発揮する賭場のシーンからクライマックスの殺陣に掛けて一気にテンションが上がる。蔵の中で展開される斬り合いは逆光や俵から吹き出す米が効果的に緊張感を高めていて見事、屋外に飛び出してからは勝新のキレッキレのアクションが炸裂。腕や足がバッサリ斬り落とされたり、血しぶきが頸動脈から噴き出る過激な描写も。この辺はきっと勝新のディレクションなんでしょう。泥をかぶって全身がダークグレーになった座頭市が、伊福部昭の音楽をバックに左から右へゆっくり移動する様子はまるでゴジラの様だ

これでブルーレイBOXセットに収録された全25作すべて鑑賞終了。シリーズにハマり出したのはこの2〜3年くらいなんだけど、座頭市を知らないまま死なずに済んでホントに良かった。今度はまたお気に入りの作品からひとつずつ観返していこうと思います。
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