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アラビアのロレンスのQMのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
4.0
学生の頃ビデオを借りてきてみて以来だったが、おそらく当時は寝落ちしたか流し見してたんだろう。このはじまりと終わりは一度見たら忘れないだろうに記憶にない。。
200分越えも苦にならない、惹きつけられるストーリー展開。実在のロレンスの人間力、魅力ある人だったことがよく伝わる演技だった。博識で遊び心があり、周りに流されない独自の美学をもった自由人。どこか掴みどころがなくて好奇心旺盛。そんな人間が、灼熱の砂漠に出て厳しい自然環境と戦争という二重の敵との闘いをとおし人格が変わっていく。その心の移ろいこそがこの作品の核となっているような感じさえ。成功体験を重ねることで周囲に「変わり者」と言われていた自分のことを「神」と自称するくらいに要は思い上がっていく。一方で、大切な人達を次々に亡くし、時には自ら手を下し、復讐心に燃えて殺し返す。砂漠ではひとつの命が簡単に消えていく。そんな悲しい状況で持ち堪えているどころか興奮している自分自身に気づき、恐れ、心を病んでいく。無謀な挑戦をし続けて犠牲を払いながらも達成していったロレンスは本当は何を目指していたのか。結局彼がどこからきてどんな環境で育った人間なのか、幸せだったのかどうか、そんなことには一切触れられないところはある意味潔い。マッチの火を吹き消すかのようなラストなのだが、冒頭に戻ってその後を見直すとくすっと笑える演出もあり多少救われる。ロレンスはどこまでもロレンスとして死んでいったんだな…世俗的な成功やら幸せやらを求めたというよりは、人生の一瞬一瞬を生きた人だったのだろうとおもう。

最近アラブ関連の仕事があって、アラビア人の名前の構成やルールなんぞをググり出し、アラビア文化も面白いな〜などと思ってなんとなく見始めたが、作品では誰もかれもが終始英語喋っててて時代を感じた。
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