ミミズ式SGキネマ倶楽部

宇宙戦争のミミズ式SGキネマ倶楽部のレビュー・感想・評価

宇宙戦争(2005年製作の映画)
4.4
「マイノリティ・リポート」に次いで2回目のスピルバーグとトム・クルーズのタッグが見られる本作。結論から言うと最高のSF映画ですね。

 序盤の嵐からスタートし、雷が落ちたと思ったら地中から異星人のトライポッドが出現。畳みかける様に恐怖映像がスタートしていきます。ビームにより一瞬で消し去られる人間と逃げ惑うパニックに陥った人間とを迫力満点の映像で撮っているのは、さすがスピルバーグの手腕でしょう。中盤からは、血を吸い何かの植物の養分にするシーンや、姿を現す宇宙人など、ダレることなく新鮮な恐怖場面をちりばめていきます。

 トム・クルーズと娘役のダコタ・ファニングの演技も最高でしたね。ダコタ・ファニングの恐怖でゆがむ表情もさすがでしたが、今作はやはりトム・クルーズの演技が光っています。他作品では、ヒーローとして果敢に戦う役割の多いトムですが本作では宇宙人の前に手も足も出ず(一応撃破シーンはありますが)翻弄される姿を映し、新鮮な感じ。そして何より「子育て」という強敵。思春期の息子とコミュニケーションを取ろうとするものの全くうまくいかず、ボールで窓ガラスを割るトム、子供がピーナッツアレルギーであることも知らず、ついには窓にパンを投げつけるトム。子供に名前を呼び捨てにされるトム。クライマックスまでダメ親父を演じ続けています。トム主演作には珍しい配役と演技ですね。

 総じてスピルバーグの本領発揮ともいえる恐怖・パニック映像の畳みかけ。トム・クルーズの新鮮な演技。それが組み合わさって最高のエンターテイメント作品になっていると思います。「フェイブルマンズ」が公開された今、スピルバーグ作品を振り返るのに最適な一本といえるでしょう。もちろんおすすめです。