nori007

007 スカイフォールのnori007のレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.0
アカデミー監督賞のサム・メンデス監督が007を撮るとここまで人間ドラマになるのか。。今作のボンドはスーパースターではない。引退間近の人間である。いや本来はスパイの適合検査に不合格者である。そしてMI6もMも前時代的の古臭いモノとして描かれる。
なんとも切ない話だ。この切なさは物語全編をおっている。

英雄の詩にはこう描かれる。
「多くのものが奪われたとはいえ、まだ残るものは少なくない。その昔、地をも天をも動かした剛の者では今はないとしても今日の我らは斯くの如し、である
英雄的な心がもつ共通の気質は、寄る年波と宿縁で弱くなったとはいえ、その意志力は強く、努力し、求め、探し、そして屈服することはないのだ。 」

そうボンドの趣味は「復活すること」
敗北からの復活なのだ。

だが、敵となる「ノーカントリー」ハビエル・バルデムは1枚も2枚も上手な相手である。元スパイだけに手の内は握られておりMに強烈な恨みをもっている。最強の敵である。

この最強の敵に落ちぶれたボンドとMが最後の賭けに出る。。。


すべてが終わったあと、マニーペニーは秘書となり、新たなMが就任する。
そう、ここからが本当の始まりだったのだ。
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nori007の感想・評価
2015/11/24 23:04

4.0
初見の時は、もちろん面白かったのだがかなり戸惑ったのを覚えている。
ニューボンドとなってから初登場となるQとマニーペニー。そのキャラ設定がまったくの別人になっていて、前作を踏襲していないのにとても違和感を感じた。
ラストバトルも一軒家での戦いという大作らしかなぬスケール。

が、しかし。そういった物として見なおしてみるととても良く出来ているとに気がつく。
まずアクションが前作のように手持ちカメラでブレブレではなく、とても見やすくなおかつ絵的な映像美がすぐれている。冒頭のトルコのスークでのチェイスは最高に燃えるし、上海でのネオンをバックにしたバトルも素晴らしい。
何より軍艦島が登場するところは、久々の日本ロケでとても感慨深い。

今回の敵は「ノーカントリー」でのものすごいサイコキラーを演じたハビエル・バルデム。
まるでボンド対シガーの夢の対決が実現したかのようである。

そして終盤には、かつてのボンドカーであるアストンマーチンDB5が当時の装備そのままに登場して訪れる場所はボンドの育った故郷。この展開には007ファンならば強烈に心を掴まれるはず。
そもそも今回は、ボンドが一度死んで再生し復活する話である。いわゆる「007は二度死ぬ」をさらにハードにしたような感じで。終盤には再び自らの故郷に戻る。これはシリーズを総括したようなストーリーで、また再び始まるという円環構造としての起点となる物語。そして次回作がボンド最大の宿敵スペクターとなるのだろう。
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