ノットステア

007 スカイフォールのノットステアのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
5.0
レビュー100本目!

○感想
007シリーズの中で1番好き。
007シリーズにはまるきっかけになった作品。
映画の公開時、クラスの友だち数人で映画館に観に行った。僕にとって思い出の作品。
ガンバレルの銃を撃つポーズで皆で写真を撮った。

・この作品は、ボンドの成長が描かれているように思う。Mに見捨てられ、死を楽しむことからこの物語は始まる。この作品において、ボンドと対照的に描かれているのがシルヴァである。そうすることでボンドの葛藤がより鮮明に見えてくる。共にMに見捨てられるという経験がある。その共通点から、一歩間違えれば、ボンドもシルヴァのような行動を取っていたかもしれない。
 この映画における成長とは、老いた自分と向き合うことだろう。かつての007はいない。自分はどう生きるべきか。年齢関係なく考えさせられる問いだと思う。
さらに言えば、Mの成長(終活)物語でもある。いつどのように引退するか。自分のミスをどう片付けるべきか、そもそも片付けないべきか。
・「幸運を祈っている」というような言葉が何度も出てくる。Mにもマロリー、カジノの店員、セヴリンにも言われる。嫌味な言葉だと思った。
・イギリスの不屈の精神の模範(鑑)であることにボンドは少なからず誇りを持っている。

引退、仕事のミス、体力の限界などを絵画なども使って、何度も表現している。

以下、ネタバレありです。









○好きなシーン
*どこか海の近くで
女と寝て、薬を飲み、アルコールに浸る。サソリを手に置きながら酒を飲む。

*New Digsにて。
テストをしながら、現状を聞く。相手の情報は何もわかっていない。特に懸垂のシーンが好き。タナーたちが去るとボンドは崩れ落ち、座り込む。
このシーンを観ながら僕も筋トレたまにする。

*Mのもとへ向かいながらマネーペニーと会話。
007を殺した件で、マネーペニーは配属が変わった。しばらくマロリーのアシスタントに付いて、それから現場に戻るつもり。「次は助からないな」とボンド。
ボンドはそれを聞いて、「向き不向きがある。気を落とすな、動く標的を狙うのは難しい」という。「じゃあいつも動いてて」とマネーペニー。

*美術館にて時の移ろいの必然について。
ボンドは「ニキビ面の坊やだから」、冗談だと思い、「能力が疑わしい」という。「あなたが一年かけて敵に与えるダメージを、僕はパジャマ姿でパソコンを使い、紅茶を飲む間に与えられる」とQ。「じゃあ、ぼくは不要か。」というボンドに対し、「銃を撃たなきゃならないときもある」とQ。「撃たないときも」。「その判断はパジャマ姿じゃできない。」とボンド。
二人は握手をする。「Q」「007」。
上海行きの航空券、種類とパスポート、ワルサーPPK/S9㎜ショート弾(グリップにマイクロ皮膚センサー、ボンドしか撃てない、個人的な意思表明の道具)、標準装備の無線発信機(起動すればボンドの位置が発信される。救難信号)
「さえねぇプレゼントだな」とボンド。「ペン型爆弾の方がよかった?ああいうのはもう古い。幸運を祈ってます。あと装備は無傷で戻してもらえます?」と言ってQは去っていく。「世代交代か」。

*マカオ
髭を剃ろうとしているボンド。そこにマネーペニーが情報を持って来る。「ルームサービスです」。
ボンドは古風なスタイルが好き。折りたたみのカミソリ。
マネーペニー「トラディショナルね」「そんなカミソリ。古風なのね」
ボンド「古風なのが好きなんでね」
マネーペニー「時には古風なやり方がベストな時もあるわ」
髭をマネーペニーに剃ってもらう。つまりまた、マネーペニーに命を預ける。

*カジノ
マネーペニーは先に来ている。無線の確認。
「こんばんは」
「耳に手をやるな」(カジノ・ロワイヤルと同じ)

シルヴァ「君の趣味は?」
ボンド「復活することだ」

「これはQの最新兵器。いわゆる発信機だ。」

*ドアを抜け地下鉄の線路
ドアが開かない。
Q「開くよ。力を入れて」
ボンド「じゃあこっちに来て力を入れてみろ」

ボンド「準備は?」
キンケイド「お前が生まれる前から出来てる。」

ボンド「僕が最後のネズミだ」



〇歴代の作品の踏襲
・盗難作品(第1作『ドクター・ノオ』)
アメディオ・モディリアーニ『扇を持つ女』
『007 ドクター・ノオ』(1962)では、潜入したドクター・ノオの屋敷で、ボンドが画架の絵画を訝しげに見つめるシーンがある。その絵画とは、フランシスコ・ゴヤ『ウェリントン公爵』。1961年にロンドンのナショナル・ギャラリーから盗まれ、行方不明だったこの絵は、1965年に無事に奪還された。

・アストンマーチンの飛び出す助手席(第3作『007 ゴールドフィンガー』)
「乗り心地が良くない。」というMに対して、ボンドは車の中の装備ボタンを見せつける。「着くまで文句言います?」「シートごと放り出せば?構わないわ。」

・耳に手を当てるな。
マカオのカジノにて。無線の確認。
「こんばんは」
「耳に手をやるな」(『カジノ・ロワイヤル』と同じ)