二瓶ちゃん

妻は告白するの二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

妻は告白する(1961年製作の映画)
4.7
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大映映画株式会社製作

【情のあわい】

ただ一つ確かなのは女の愛。根を張った1人の女の情が強く演技に出ていて怖いほど。濫用されがちな表現だがこれぞ「怪演」。

人の情は白でも黒でもないし、灰色でもない、その淡さをうまく伝わるようにすることは難しいことのはず。しかしそのような情を持っていた今作の登場人物たちの情は手に取るようにわかった。

テンポが良すぎてじっくりと考える間がなかった。しかしとーっても面白い。思っていたよりも入り組んだ話ではなく、状況説明を兼ねたセリフで多くが語られる法廷劇から始まるサスペンスドラマだった。

ステレオタイプ的な描き方ではあるが、悪意込みで、他人事を面白おかしく伝えるマスメディアよかった。あとは、美徳のフチに彩子を追いつめる検察の主張。その後の美徳を脱したエゴイズムへの言及が良かった。

最終的な話の流れもうまいと思ったし、何より見ていてずっと夢中だったのでこの評価。

やっぱ川口浩かっこいい、また最高殊勲夫人見たくなった。もちろん若尾文子は艶っぽく。教授は卑しく。スリリングな会話でどうすることもできなかった人生を突き進んでいく女の像が迫ってくる。