ねぎおSTOPWAR

フェイシズのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

フェイシズ(1968年製作の映画)
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1968年に製作されたこの作品はジョン・カサヴェテスの初期作。
かれは元々俳優として商業映画に出演してきた。例えば「ローズマリーの赤ちゃん」。あの旦那役がそう。そして出演費を予算として映画を作ったそうです。
彼はインディペンデント映画の走りであって、大手スタジオ製作映画と立場を異にした。

彼が残した言葉によると、彼が狙ったのは「即興的演出」。
つまり台本に決まったものを、きっちりしたカメラワークと編集で演技、撮影されていくことを嫌い、役者の即興を許容し、《リアル》を引き出し、撮影もまたドキュメンタリー的に即興的に行うわけです。
研究者の言葉を借りると、それらは一回きりのチャレンジで、反復されたり体系化された途端にそれらは狙ったリアリティを失うこととなる・・と。

本当にこの《映像とリアリティ》というテーマは時間がいくらあっても足りない話題。
そもそも映像として切り取った段階でそれは意志を持つ。撮影者のフィルターを通ったものなわけで。人間の感情、表情、言葉というものが、表出された時点のリアリティを問うならば、頭の中でこう考えて、それを言葉を選んで発言するという行為はある種の演技ではないのか?瞬間的であればいいのでしょうか?
・・とまるで哲学の論議に突入。

さてジョン・カサヴェテスは主に妻であるジーナ・ローランズとコンビを組んで何作も世に出しました。そしてそれらは即興性を武器にして極力作り物感を排除して評価されたのです。
もはやストーリーや、中身に個人的に興味はなく、カメラポジションと編集(なんだかんだ編集しているのだ!)と演技にのみ興味を抱き鑑賞しました。

一番ラストの階段シーン。それまでのほぼ作られていないショットばかりの中、唐突にやってきた意図を感じるショットでした。ここでの人の動きや意味は面白かったです。

スコアはあえてつけません。