はなたまご

ニュー・シネマ・パラダイスのはなたまごのレビュー・感想・評価

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 映画を愛する男サルバトーレ(トト)のノスタルジックな回想と、彼を大きな優しさで包み込む映画技師アルフレードの言葉が見る者の心を震わせる名作。
 ちょっと騒がしいけれど素直で心豊かな村の人たちの姿は見ていてとても微笑ましいし、幼いトトのキラキラした笑顔は希望に輝いている。また、青年となったトトの初めての恋が実る瞬間は最高にロマンチックだ。そんなたくさんの思い出が詰まった映画館”cinema paradiso”は、間違いなくトトにとっても見ている私達にとっても名の通り「楽園」で、同時に離れがたい故郷である。しかし、そこを離れるよう諭したアルフレードの愛には温もりがあり、「楽園」が映し出してきたどんな活劇やロマンスよりも人情味にあふれている。
 ノスタルジアを前面に置いてはいるが、それ以上に「自分の人生を彩るのは自分」だと未来に目を向けさせてくれる作品だった。