青山

ニュー・シネマ・パラダイスの青山のレビュー・感想・評価

4.0

映画監督のサルバトーレの元へ、故郷の母から「アルフレードが亡くなった」と電話が来る。その電話で、サルバトーレは幼少期に思いを馳せる。貧しく小さな村。唯一の娯楽施設「シネマ・パラダイス」。そして、大親友で父親が割りのような、映像技師のアルフレード......。

少年が大人になるまでの半生を切なくも優しく描いたドラマです。

とにかくアルフレードがいい人。そして主人公の幼少期がバチクソ可愛い。正味な話それだけ。それだけで最高。

前半ではまだ小さなトトが映画と映画館での交流で少しずつ人生に触れていくのがユーモラスに描かれます。
無学だから映像技師という奴隷のような仕事しか出来ないことを主人公のサルバトーレことトト君に説明して「ちゃんと勉強しろよ」と言い聞かせるところとか泣けました。トト君ちゃんと聞いてなかったけど。小学校の卒研の場面も泣きました。トト君は笑ってたけど。
子供って何も知らないからけっこう残酷だったり。でも、後から思い出してあの時のあの人の気持ちが分かったりすることもありますよね。
そして、村の人たちも良い味出してます。今の映画館で上映前に流れる「映画鑑賞のマナー」のコーナーに照らし合わせると彼らはもう最悪ですが、映画だけじゃなく映画館という場所を楽しむ彼らの姿はちょっと羨ましく思いました。

そして中盤からは学生になった青年期のトトのお話なんですが、ここで描かれる初恋というのがもう素敵なんですねぇ。まず女の子可愛いし、彼女と関わるシーンの全てが胸キュン。中でもキスシーンの美しさは夢のようです。観ているだけで幸せでいいなぁちくしょう!と思います。
で、私が観たのが実は「劇場公開版」ってやつで、これと別に「完全版」という長いやつもあるらしいですね。そちらではこの恋の顛末がわりと詳しく描かれているようですが、私が観たやつだと恋の終わりがとても中途半端になってます。といってもそれが悪いわけではなく、初恋なんてだいたいまともに終わるはずもないんですから、これはこれでリアルで良かったと思います。

そして、ラスト、詳しくは書きませんが、エモいということをよく分かってらっしゃいますよねあれは。最高でした。
青山

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