青山

デモンズの青山のレビュー・感想・評価

デモンズ(1985年製作の映画)
3.9

仮面の男から招待券をもらい映画館に集まった人々。しかし映画の内容をなぞるように1人の女性が"デモンズ"化。それはゾンビのように引っ掻かれた人たちに感染していき、閉ざされた映画館の中での攻防が始まる......。


たぶん10年くらい前にDVDを借りてきて観たっきりでしたが、この度大須シネマ様で2K版が上映されたので観てきたんですが、最高でした。ありがとう、大須シネマ。

さて、本作ですが、先日『キラー・ナマケモノ』という半端なB級ホラーを観たのもあって、めちゃくちゃ「そうそうB級ホラーってこれだよな!!!」という気持ちになってとても良かった!

冒頭の仮面の男に招待券を貰う場面の緊張と緩和からして上手くて引き込まれるし、映画館でそれぞれキャラの濃そうな観客たちがスクリーンを眺めるのを、映画の画面も合わせてパッパと切り替えていくところもかっこいい。
そして何より、水面下で進行していた異変がついに衆目に晒される、スクリーン裏からデモンズ人間が飛び出てくるシーンではめっちゃテンションぶち上がりました。
変身シーンも歯が取れるところの気持ち悪くも見入ってしまうフェティッシュな感じも最高だし、血と汚物に塗れた汚い絵面だけどカッコよくてただ下品なだけにはなってないのが良いよね。
それと、デモンズというクリーチャーが走って引っ掻くゾンビみたいな感じで強い。気持ち悪さとカッコよさと怖さがちょうどいいバランスで配合されてて良い造形っすよねデモンズ。
そんで、色遣いは燻んだ原色の赤と青が目立つアルジェント風なものでありつつ、演出はアクションシーンも多くアメリカのホラーみたいでアルジェント作品とは一線を画しているあたりも新鮮で、ダリオ・アルジェント監修、ランベルト・バーヴァ監督タッグの面白さが出てる気がします(ミケーレ・ソアヴィの名前もどっかにあったな)。

ストーリーに関してはまぁめちゃくちゃで、映画館内の騒動と街のヤンキーたちの話が交互に描かれるわりにこのヤンキーたちが別に全然活躍しないモブみたいな感じだったり、デモンズ人間の背中から本物の悪魔みたいなのが産まれたわりにそいつも産まれただけでその後別に出てこなかったりと、意味ありげに出てきたものが全く回収されないまま放置プレイされて挙げ句の果てにモブっぽいカップルが主役みたいになるようなテキトーさが今観るとむしろ痛快でもあり、なんせ映像や音楽がカッコいいからこんだけめちゃくちゃやってても面白いのが凄え。ロックです。
スクリーンの裏側から叫び声が聞こえるシーンの、「本物の悲鳴だわ!」「いやドルビーだからだよ」みたいな会話に笑った。また、映画のせいでこんなことになっちゃうって設定はホラー映画への批判へのアンサーのようでもあって好きです。
あと、終わり方が最高だったね。
というわけで、2も以前観たけどまた今度大須シネマ行ってまた観たいなと思います!
青山

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