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ニュー・シネマ・パラダイスのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

4.0
ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、故郷シチリアを舞台に、映写技師と少年との心あたたまる交流を映画愛とともに描いた感動作。
原題: Nuovo Cinema Paradiso (1989)

ローマに住んでいる映画監督のサルヴァトーレ(ジャック・ペラン)は、故郷シチリアにいる母(プペラ・マッジョ)からの電話でアルフレード(フィリップ・ノワレ)が死んだと知らされ、30年振りに故郷に戻る。

~少年時代の回想~
①第二次大戦終結直後、出征した父は戻らず、母(アントネラ・アッティーリ)と妹の三人で貧しく暮らしていたサルヴァトーレ/トト(サルヴァトーレ・カシオ)は、映画が大好きで、映画館"パラダイス座"の映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)と仲よしになる。
当時、映画には、映画館を兼ねていた教会の司祭(レオポルド・トリエステ)の検閲があり、みんなラブ・シーン(キス・シーン)を見たことがなかった。
②思春期に達したトト(マリオ・レオナルディ)は、銀行家の娘エレナ(アニェーゼ・ナーノ)に恋をし、やがて兵役に就いて、除隊後に故郷を離れる。

~現在~
故郷に戻ると、彼が後を継いで映写技師を務めた"新パラダイス座Nuovo Cinema Paradiso"も取り壊しが決まっていた…。

ラスト・シーン…アルフレードが形見として遺したものに映画愛など様々な思いが込められ、涙を誘う感動を呼ぶ。

「ここは不毛の地だ。毎日過ごしている場所が世界の中心に思える。この村を去れ。人生は映画のようにはいかない。もっと厳しい。」

「電話するといつも違う女の人が出る。あなたを心から愛する声を聞いたことがない。声で分かるのよ。
ここにあるのは"幻想"。忘れなさい」

エンニオ・モリコーネの主題曲「Cinema Paradiso」はスタンダード・ナンバーとなり、私が愛聴する、パット・メセニーとチャーリー・ヘイデンの「ミズーリの空高くBeyond The Missouri Sky」でも、ラブ・テーマとメイン・テーマが演奏されている。

イタリアで劇場公開された「オリジナル版」(上映時間は155分)の興行成績が振るわなかったため、ラブシーンやエレナとの後日談をカットして123(124)分に短縮され国際的に公開されて成功を収めたのが、この「インターナショナル版(劇場公開版)」
後に「ディレクターズ・カット版」(上映時間は173分)も公開されているようだが、見ていない。

作中に登場するたくさんの映画の中に、思い出深い作品があると一層楽しい。
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