けーはち

刑事ジョン・ブック/目撃者のけーはちのレビュー・感想・評価

3.5
ドイツ系移民の子孫で移民当時のライフスタイルと平和・謙虚を旨とした信仰を守るキリスト教再洗礼派の共同体アーミッシュを軸に据えた一風変わった展開が肝となる刑事ドラマ。タイトルとなっている殺人事件の「目撃者」の母子を守るために負傷、アーミッシュの村に溶け込んで静養しながら彼らの格好を纏い、乳搾りや大工仕事をさせられる刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)の姿は何ともおかしくて異世界ファンタジーよろしく「行きて帰りし物語」の風味。ジョンがアーミッシュをからかいに来た連中に対し非暴力を守れずボロを出す展開や、ジョンを追い詰めた悪徳刑事どももアーミッシュの人々を前にして何だか心が折れてしまって罪を認めてしまうスリリングでないフワフワなスリラー感、追手がトウモロコシに生き埋めになって死ぬシーンなども重大事が発生しているのに雰囲気は何とも牧歌的な本作特有の味と言って差し支えなかろう。