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ディス・イズ・イングランドのyoshipyのレビュー・感想・評価

4.2
イギリス映画万歳とか軽い気持ちでもう言えなくなってしまった。
そもそも「イギリス」なんていう呼称自体なんとも無配慮というか。

1983年、マーガレット・サッチャー政権の下、国力が低下していく中で多くの労働者が低賃金の移民に仕事を奪われ、そんな情勢を変えようと必死にもがく白人至上主義スキンヘッズ達の話。
思いっきり社会派。
人種差別、右思想、左思想。

ただ、この映画のすごいところは誰も悪く捉えさせないところ。
スキンヘッズの中に黒人ジャマイカンがいたり、挿入歌がレゲェだったりする。
そして、当時のファッション文化を上手に織り交ぜて、UKの歴史との関連性も勉強できる。
スキンヘッズ達の、ベン・シャーマンのシャツにタイトジーンズ、Dr.Martinというスタイル。とても深かった。

自分も10代中盤の頃UK文化に憧れて、母親にDr.Martinのチェリーレッドを買ってもらってめちゃくちゃ嬉しくて。
だけど父親に日本人がそんなもんはいても似合わねぇと言われたことがあって。
その意味が今回やっとわかった気がする。
私のような日本人としてのアイデンティティさえも不明確な人間こそ見るべき映画。

教科書に載っていない真実の歴史はいつも映画と音楽が教えてくれる。
学びの多い作品でした。
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