鑑賞用男性論という奇抜なファッション理論をひっさげてパリから帰国した女性デザイナーと、母親の経営する広告会社の社員で姉の夫の弟である男性の恋愛関係をファッションを絡めて描いた、野村芳太郎監督の恋愛コメディ映画。
コメディとしては面白くない。男性が奇抜な服を着せられるだけじゃなあ。恋愛ものとしても中途半端。有馬稲子の相手役が杉浦直樹じゃあ、ぱっとしない。芳村真理との関係も二人のじゃまになっていないし。野村芳太郎監督が同じ年に公開した『黄色いさくらんぼ』(こちらの主演は芳村真理)のほうが、ずっと出来がいい。
結局、本作の見どころは有馬稲子だけ。コメディエンヌぶりもなかなかだし、ファッショナブルな服装やダンスを披露したりと、彼女の魅力が満載。彼女にこれだけフォーカスして、魅力を引き出している映画はあまりないように思う。JAIHOで配信している映像の状態がかなり悪いのがちょっと残念。
なお、同時代にファッションをテーマとした日本映画として他に思い浮かぶのは、浅野正雄監督の『華麗なる闘い』という作品。この映画は有吉佐和子の小説が原作だけあってとても良く出来ている。一方、本作はファッションデザイナーである中林洋子のエッセイが原案になっているが、脚本がイマイチだったのだろう。吉村公三郎監督の『女の勲章』という作品もあるが、個人的にはこちらもイマイチだった。