鑑賞用男性の作品情報・感想・評価

「鑑賞用男性」に投稿された感想・評価

一

一の感想・評価

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軽くて、おどけた、カラフルなファッションショー映画で楽しい。「有馬稲子(帰国第一回作品)」とあったのだが、ひと月半のヨーロッパ旅行から帰ってきて最初の映画だったらしい(わざわざクレジットすることなのか)。その浮ついたかんじがひしひしと伝わってくる。桑野みゆきや津川雅彦、川津祐介、三上真一郎もカメオ出演。稲子の提唱する"観賞用男性服"に完全に着られている仲谷昇や十朱久雄や上田吉二郎も見ものです。芳村真理がショーのステージ上から杉浦直樹に投げ渡すラブレター、「今日のわたし キレイだろ 惚れな!」痺れるぜ。惚れな!
三四郎

三四郎の感想・評価

3.0
日本版スクリューボールコメディかな?
どうもそれほど面白い筋ではないが、ファッションが興味深い。有馬稲子の着こなす衣裳が見どころの映画だ。
有馬稲子は赤リンゴを齧り、芳村真理は青リンゴを齧る。杉浦直樹が芳村から青リンゴを受け取り齧るが、ここで青リンゴを拒否すれば、〈赤リンゴが象徴する有馬〉対〈 青リンゴが象徴する芳村〉といった構図ができ、映画がもっと興味深くなったように思う…。

芳村真理の「今日の私 キレイだろ 惚れな!」という直球ラブレター。
「ある種の嘘は人生を飾り…」
「講義より雑談の方が面白い 大学教授なんてそんなもん」
「パリは流行を作り、アメリカが買い、日本がそれを真似る」
「モードの中にモードしか見ないのは愚かである」という言葉が印象に残った。
俺たちピエロ 哀しいピエロ …サラリーマン哀歌も歌われている。
杉浦直樹が遊んでいたミニビリヤード欲しいなぁ。
あーや

あーやの感想・評価

4.9

このレビューはネタバレを含みます

※「恋の画集」と「観賞用男性」の2本立てのため多少重複します。

コメディ映画のおもしろさは、映画館で観るからこそ真の価値が判るのだと思います。たとえ1人で観に行っていても、周りに笑い声がすると思わずつられて笑ってしまうのです。

野村芳太郎のコメディってどんなんやろって思いながら見に行きました。なぜなら彼の作品で私が一番に思い出すのは「鬼畜」(とても怖い)その次に「ゼロの焦点」(程よく怖い)。清張作品を撮ってるイメージなんですよね。
それが「ゼロの焦点」と同じ1960年に「恋の画集」、その一年前に「観賞用男性」を撮っていたなんて!すごいギャップ!!!そして2作品ともとってもガーリーでラブリーなコメディ!この人の作品は清張作品以外にもスポットライトがあたるべきですね。発掘しないと!

「観賞用男性」は、当時本当にフランスから帰国したばかりの有馬稲子をデザイナー役に起用して、フランス被れのデザイナーが「男性も古臭い背広なんか着てないで新しいモードなファッションを身に纏うべきです!!」と斬新な男性ファッションを自分の親族の会社にゴリ押しで制服として規定させます。(魅力的な女性ファッションに対して、このユニフォームがあまりにも酷い出来!!ダッッッサイ!!!)

もうね、、、有馬稲子が信じられないほどかわいすぎて終始画面をうっとり見つめていました・・・。有馬稲子と言えば小津映画での「おとなしいお嬢さん」のイメージしか無くて、それがあまりに強かったのでこれまであまり興味を持てない女優さんだったのです・・。
能をテーマにデザインされた今の時代にも通用するモードファッションに、リズ(Elizabeth Taylor)のようなくっと下がった眉やはっきりとした涼し気な青い色のアイシャドウなどのメイクももちろん魅力的なのですが、もう何よりハキハキと快活に話しパタパタと動き回りモリモリご飯を食べる有馬稲子が元気いっぱいでかわいいいぃ・・♡♡♡はぁ。
そしてそんな彼女をじっと見つめていたい私の期待をわざと裏切るかのように、瞬く間に素早いテンポで変わってゆくシーンの連続・・。(さながら中平康や川島雄三のようなかなりのハイテンポ。全て見逃さないようになるべく瞬きを控えるほどのスピードなのです)
なぜ男性ファッションを刷新すべきという考えに至ったのかを有馬稲子本人がカメラ目線で語るファーストシーンでぽーっと見とれたのですが、同時に既にハートを射抜かれておりました。。なんともまぁお見事な美しさです!!!60年代のフランス映画にも劣らないlovelyな映画でした。ああ、既にもう一度見たい。有馬稲子に「好き」ってもうあと3回は囁いて欲しい。。

個人的に特筆しておきたいのは、両作品ともオープニングでアニメーションを使っています。「恋の画集」は最初の30秒だけで「観賞用男性」はガッツリと時間をかけてカラフルな色調です。どちらもお堅くない映画なんだなと思わせてくれる少しおマヌケなアニメーション。おかげでいい具合に力が抜けました。グラフィックを駆使せず、作家の手とセンスに任せたのだろうと感じるオープニングでした。
3104

3104の感想・評価

3.7
サスペンスや推理モノのイメージが強い野村芳太郎だが、実はコメディでもその才覚を発揮していた!・・いや単に自分が知らなかっただけか。

今の時代、女性だけでなく男性もお洒落をしなくてはならない、着飾って自己主張をしなくてはー
そんな「鑑賞用男性論」を引っさげパリから帰国したデザイナー、芦谷理麻を中心に巻き起こるドタバタそしてラブコメディ。

とにかく有馬稲子である。
撮影時に実際に洋行帰りだった彼女自身を思わせるような理麻の設定。歌って踊れる彼女の経歴を活かしたシーン。華奢でありながら肉感がある彼女の体型も引き立つような色とりどりの華やかな衣装。そしてファッションという狂騒を皮肉りながらもきっちりコメディエンヌをこなす演技力。
当時28歳と、言ってみれば美貌やキャリアのピークにあったであろう彼女の姿が存分に堪能できる作品である。

彼女以外のキャストも豪華かつ魅力的。
相手役の杉浦直樹。その兄に仲谷昇。彼女の家族に細川ちか子や十朱久雄。他にチョイ役で三井弘次や左卜全(チョイ役でも持っていく)、「本人」役で桑野みゆき、カメオ的な津川雅彦や川津祐介・・等々。
杉浦・仲谷兄弟の好対照な演技がいいバランス、そして有馬の恋敵のようなポジションの芳村真理の存在も光る。

こちらに向かって語り掛けるくだりや矢継ぎ早に繰り出されるギャグシーン、コロコロ切り替わる場面など、どこかテレビ的、バラエティ的な要素が特徴的。かのようにテンポよく進み、終始そのノリでうまく笑いを挟みながら行くのかと思いきや、後半になるとやにわにスローダウン。有馬と杉浦の恋を巡るメロウな展開といえば聞こえはいいが、急に湿度が増してしまい足取りがもたつくのが何とも残念。

ラブコメの「ラブ」の部分はベタな作り。互いが互いをある程度は意識しているのだが性格や立場などの理由から素直になれず、それでも仲良くなりかけるも些細な出来事でぶつかり、しかし何かのきっかけ~多くは外からの“押し”~により最後は結ばれてメデタシメデタシ・・という、王道ここに極まれりというハッピーな展開である。
B級でぶっ飛んだセンスのラブコメでした。「観賞用男性服」と称した奇抜な服装を世に広めようと画策する帰国子女有馬稲子さん。杉浦直樹さんにぶっ飛んだセンスの服を着させることが最終目的という謎の設定で暴れ回ります。

有馬稲子さんの美貌は十二分に堪能出来ますので彼女のファンの方にはお勧め致します。