垂直落下式サミング

ゴジラ対メカゴジラの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴジラ対メカゴジラ(1974年製作の映画)
3.9
本作の公開は沖縄返還の二年後であり、本土復帰してすぐに怪獣の戦いの舞台となってしまう。琉球の悲劇!だが、物語にはあまり沖縄感はない。
葉巻をふかし、ブランデーグラスを手にする裕次郎を意識した宇宙人が登場し、殺戮兵器メカゴジラを地球に解き放つ!
本作の魅力は新怪獣のデザインであり、宇宙人が作ったメカゴジラは、「これこそがメカゴジラだ!」と思ってしまうようなフォルム。鉄板のつなぎ目にリベットが打たれていて、アーク溶接によってまっすぐ接合されている。その格好よさは、まさに職人の手によるものであり、やはり生物の模造品というよりも兵器として機能を重視したオートマタである。
もう一匹の新怪獣である沖縄の守護神キングシーサーは、島人たちの願いをのせた目覚めの歌を全部聴き終えて勇ましくあらわれる。メカゴジラの放った光線を跳ね返し、打撃をいなして一本背負いを決める武闘派。しかし、メカゴジラの遠距離攻撃に手も足も出ず、岩影に隠れたり、ゴジラの背後に回って弾幕の盾にしようとするチキンボーイ。
ストーリーはかなり子供向けなのだけど、着ぐるみのなかに血糊を仕込めるんだぞという技術をみせたいのか、やたらとぴゅーって血が吹き出す。生物が生身ひとつで戮殺のみを目的とした兵器に戦いを挑むとなれば、このような向こう傷も致し方無いことであろうが、血み泥でのたうち回るアンギラスは、お子さま的には刺激が強い。死なないでアンギラス!これを耐えれば続編にだって出られるんだから!