庶民ケーン

カムイの剣の庶民ケーンのネタバレレビュー・内容・結末

カムイの剣(1985年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全体のクオリティで言えばアニメ映画の中でも相当なものなのになぜこんなにも知名度、評価が低いのでしょう?
確かに歴史物要素も強いのでビジュアル、あらすじは多少地味ではありますがこの時代の作品にしてはよく出来ています。

強烈な原色の光を使った演出であったり、敵キャラの変てこで宗教的な雰囲気だけど凄みを感じる動きだったり、うまい具合に並ぶ敵の数や幾何学的なものや構図を利用した芸術的なアクションにおけるワンシーンだったりとりんたろう監督独特のセンス、持ち前の個性が全編に渡り余すことなく炸裂します。
壮絶なニンジャアクションも半端じゃない、こう来たかとアクションの演出手法に度々唸らされます。もう30年近く前のアニメというのにアニメーションの可能性を感じさせられました。
作画について金田さんこそ参加されてはいないものの作画陣は蒼々たる顔ぶれで大橋学、なかむらたかし、森元晃司、鍋島修などなどマッドハウスの面々が一同に揃って最高峰の金田系作画が見られます。

また、カムイということで蝦夷で物語が全て完結するのかと思いきや薩摩、大阪、江戸、アメリカ、日本から世界を股に掛ける大スペクタクルでした。西部劇、大航海時代、戊辰戦争と世界観、ストーリーの壮大さ、スケール感が異常なまでにでかすぎますが最終的になんとかまとまっているので劇場アニメとして満足足りうるに十分な作品に仕上がっていると思います。良作です。
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