昭和っ子

カムイの剣の昭和っ子のレビュー・感想・評価

カムイの剣(1985年製作の映画)
4.5
劇場で一回だけ観たけど、すごく印象に残ってて、もう一度観たかった作品。セリフよりも絵に語らせるかっこ良さ、個性的な音楽、とても面白かった。明治前夜、崩壊直前の江戸幕府を継続させようとする人々、彼らは組織を守る為なら個人の犠牲など歯牙にもかけない。目的のために本当に多大な犠牲を強いられたのが主人公次郎だ。「生き神」とまで称されて恐れられていた忍びの首領、天海に翻弄されるがままだった彼が、ただ一人で伝説の財宝を探し出し、天海に復讐を果たすまでが、幕末の動乱期を背景に描かれていた。印象的だったのは、次郎が、やっとの思いで倒した天海の面影を、維新の中心人物「西郷隆盛」に見出す所だ。権力を得て人は鬼となり、多くの人の運命を翻弄する。それに巻き込まれる事を拒んで立ち去る次郎がかっこよかった。あの頃の映画のほとんどには背景に「敗戦」があった事を思い出した。
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