Sari

昇天峠のSariのレビュー・感想・評価

昇天峠(1951年製作の映画)
3.5
奇想天外映画祭にて鑑賞。
1952年カンヌ映画祭前衛映画賞受賞した、メキシコ初のインディペンデント映画と位置づけられる。

遺産相続問題から、シュルレアリスム的不条理ロードムービーへ。
結婚式当日、病に伏せる母の頼みで遺言状を作ることになった息子と村人を乗せたバスが向かう先に様々な困難が立ちはだかり、目的地になかなか辿り着けないというブニュエルらしいモチーフが全開。

出産が始まり、棺桶を乗せれば、美女の誘惑に合い、バスのタイヤはパンク、橋のない川を牛に引かせ渡ると、対向車がすれ違えない崖を行くはめに。崖のバスは明らかにミニチュアを使っていた。ヴィジュアルになっている林檎の皮を使った妄想シーンが鮮烈。
メキシコ時代のブニュエル映画は強烈で好きだが、『アンダルシアの犬』以降のマイナーな映画は『アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生』以外で初めて観た。奇想天外といえば確かにそうだが、どちらかと言えば娯楽映画寄りの温かみと間口の広さを備えている。

2023/02/09 名古屋シネマテーク
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