無差別イイネは咒殺

ありふれた事件の無差別イイネは咒殺のレビュー・感想・評価

ありふれた事件(1992年製作の映画)
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白石晃士が多大なる影響を受けた一作。
今見るとリアリティラインが微妙だし、バイオレンスシーンがチープだったりするのだが、92年当時にこの手法を発明したのがまず凄い。

何の面白味もない殺風景な街で、屋外から室内に入って行き、素人なのか役者なのか分からないおばあちゃんが唐突にブチ殺されるという一連の流れが恐ろしい。
あとは台所で営んでいる中年夫婦に乱入していく感じとかも恐ろしい。
普段生きている退屈な生活空間に、突如恐ろしい魔が現れる感じ。
ただ全体的に死にっぷりが微妙で、そこで絶妙にフィクションを感じるから怖くなりきらないというか、ある意味そのチープさで救われる人もいるのかも。

殺人者・ブノワにカリスマ性というのは感じないのだが、大げさな感じとかがああこういう人いるよなぁという不思議なリアリティがある。
それは演者本人の魅力にもよるところだと思うのだが、コメディアンとのことでなんか納得がいった。

終盤、唐突に因果応報が訪れるのも恐ろしい。微妙なリアリティラインと凄惨な暴力に少し毒されてた視聴者に、いやいや暴力ってこういうことだからねと刃を突きつける。