カネコ

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のカネコのレビュー・感想・評価

3.4
これ、LGBTQの映画だったんだ🏳️‍🌈

砂漠の中にあるバグダッドカフェにある日1人のドイツ人女性ジャスミンが現れる。
ジャスミンの滞在によって夫が出て行った女店主ブレンダとカフェ、その周りの人々が変わり始める。

ストーリーはゆっくりしたテンポで進んでいく。
ブレンダは最初ずっとイライラ怒鳴り散らしていてけっこうしんどい。
あのイライラは夫との生活の中で積もり積もったストレスなんだろう。事務所やカフェに積もったガラクタのように。

そんな心のガラクタをジャスミンが綺麗にしてくれる。
ブレンダは最初異邦人のジャスミンを警戒するがだんだん心を開いていく。

ジャスミンは不思議な人物だ。
冒頭で夫と別れるが夫はズレた角度の構図と忙しないカットで暴力的な性格を強調されている。
そんな夫の荷物を間違えて持ってきてしまった事で男物の服しか持っていないジャスミン。
でもこれはジャスミンが内面に男性的な部分を持ってる事の暗喩にも感じられる。たぶん彼女はバイなんだと思う。

ジャスミンの絵を描きたいと言うカフェの常連の老人はそのままズバリルディ・コックス。男性の象徴。
彼に絵を描いてもらうシーンでジャスミンは少しずつ衣服が薄くなっていき、熟れて割れ目の入ったフルーツを持っている。
これは段々と彼と肉体関係を持った事を意味してる。
同時にブレンダの態度も軟化。

ルディとは恋人関係と言うよりはジャスミンは彼にとってミューズのような存在で、それはジャスミンがいなくなった時に彼女の絵を壁に飾っているシーンに表れている。
ジャスミンの部屋に飾ってある風景画の光のようにルディにとってジャスミンとブレンダはなくてはならない光のような女神のような存在なんだと思う。

カフェは女2人の力で繁盛していき、ハイライトのマジックショーは2人が棒を手から話して操っている。
棒は男性を表していて私たちは男性から離れても上手くやっていけるという決意表明に見えた。
途中で意味深に入った虹のシーンも2人の恋愛関係を示唆していたと思う🌈

だからラストのルディのプロポーズに対しての彼女の答えがブレンダに聞いてみるというのは納得。
当時同性婚はかなり難しい時代だったと思うしルディもそれを分かっていて3人で上手くいく生活を模索して行くんだと思った。

テーマ曲calling youも素晴らしかった。この時代のミニシアター系はだいたい観ていたんだけど見逃していた事を後悔。
カネコ

カネコ