Shelby

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のShelbyのレビュー・感想・評価

5.0
もう何度目か分からないほど、鑑賞し直しているこのバグダッド・カフェ。
午前十時の映画祭にて画面いっぱいに観れるとのことで再鑑賞。
今回鑑賞した映画館、持ち込み可能ということで、ブラックコーヒーを買って持ち込み。目の前のジャスミンと共にコーヒーを呑むという至福の時間を味わえた。

カラッカラに乾いた砂漠の中でぽつんと佇むバグダッド・カフェ。日々の喧騒にイライラしまくりな女主人ブレンダ。そこに突然現れた素性も怪しい太ったドイツ人女性ジャスミン。最初こそジャスミンを突っぱねていたブレンダだったが、不器用だけれど、丁寧に、距離を推し量りながら、ゆっくり紡いでいくジャスミンとブレンダの女二人の絆。ふたりの再会による抱擁は、涙を誘うほど感動的。特段感動するシーンでもないのだろうが、ブレンダがどれだけジャスミンを待ち焦がれていたかが垣間見えることができる貴重なワンシーンにグッとくる。

このストレス社会の中で、どれだけ自分の居場所を見つけられるだろうか。
そして、どれだけ日々の疲れを癒してくれる場所があるだろうか。
人との繋がりが希薄になりがちなこの世の中で、人種も、タイプも違うにも関わらずお互いにとってかけがえのない存在になれる人が、常に傍に居るという幸せ。忘れてはいけない大切なこと。

確かに緩急つかないストーリーだし見る人によっては詰まらない展開かもしれない。けれども、この登場人物達の間合いのとり方や、コミカルな音楽、美しい砂漠の風景にとてつもなく私は癒されるのだ。

何度繰り返し鑑賞しようとも飽きない。私にとっての人生の1本で、これからもきっと、変わらない。不思議なほど、味のある魅力的な作品。鑑賞後、改めてそう実感。多忙の時ほど、この映画を見てほしい。そして、肩の力を抜いて、少し周りを見渡してもらいたい。

きっと気付かされることが多いはず。
Shelby

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