サム・ライミはコーエン兄弟と仲が良い。
だからなのか、本作は明らかに彼らの作品と似ている。
特異なキャラクター、銀世界での殺人、人生を狂わす金。
「選択」と「決断」の積み重ねが、後戻りできないほど悪い方向へと向かってしまう。
その流れに抵抗し、隠蔽していた人間たちも、疲弊していき、しまいには弟のために兄は犠牲となる。
兄弟でも親友でも夫婦でも、１人１人は異なった人間だ。
各々で口の堅さも、嘘をつく能力も違う。
弟は兄の尻拭いをし、妻はそんな彼にアドバイスを送る。
だが、物事はどうにもならない。
深く積もった雪に真実は永遠に隠され、彼らは今でも普通の顔をして生活している。
コーエン兄弟のような可笑しみは生み出せていないが、悲劇性の強い物語だ。
