そーる

評決のときのそーるのネタバレレビュー・内容・結末

評決のとき(1996年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アマプラにて鑑賞。

テーマ性と上映時間からだいぶ重いテーマだろうと思っていたのでなかなか見る気が起きなかったのですが、ようやく鑑賞しました。

結論、本作は賞賛に値する作品だと思いました。

アメリカ南部のとある街。
有色人種差別がいまだに根強いこの土地で、
10歳の黒人少女が強姦暴行にあう。

犯人は白人青年2人。

土地柄、白人に有利に働く裁判。
保釈される可能性の方が高いことを知った父親は、
娘を犯された憎しみから犯人殺しを決行する。

その裁判の弁護を担当することになる弁護士だが、
本作の根幹は
「差別が根強い土地に住む黒人の父親と白人の弁護士」であると思います。

弁護を担当することで「黒人の味方だ」と自分の娘はいじめられたり、脅しを受けながらも
本当の正義とは何かを突き詰めてゆく。

主人公を掻き立てるのは「自分でも同じ決断をしただろう」という気持ちからだった。


とてつもなく、人間臭くてどうしようもないくらい哀しい映画だと思います。

「いくらお前が黒人街で食事をしようが、黒人を弁護しようが、俺とお前はこの国じゃ敵同士なんだ。そういうものなんだ。でもだから俺は白人であるお前を弁護士に選んだ。白人のお前の目からはこの事件をどう見る?どう見たら白人の陪審員を納得させられる?」

この台詞が今でも脳裏に焼き付いています。

それに呼応するように、最終弁論へと向かう主人公。
自身もズタボロになりながら絞り出した言葉、

「その少女は白人だったのです。」

とてつもなく哀しく、どうしようもない言葉です。
救うためにはこれしかなかった。
でもこんなことは言いたくなかった。
認めたくなかった。

ここの演技が本当に素晴らしいです。

唯一欠点というか、気になった部分を挙げるとすれば、
白人至上主義の人たちを野放しにしすぎでは?と。笑
流石に屋根の上からスナイパーで撃たれてるのにキーファーを最後のシーンまでお咎めないのも無理あるだろうと。笑
火柱を上げまくったり、暴行、拉致、やりたい放題すぎますいくらなんでも。

せっかく現実性の高いテーマを扱っているのに、
ここだけフィクション要素が強くて残念でした。

しかし、配役は完璧です。
「この事件の検事は主席検事だ。出世のために死刑を求刑してくるだろう」
という言葉から、登場するケビンスペーシー。

『ああ、これは勝てないかもしれない、、』と見ているこっちも思いました。笑
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