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クロノスのsymaxのネタバレレビュー・内容・結末

クロノス(1992年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

"クロノス"…それは、中世の錬金術師フルカネリが作った"永遠の命"への鍵…

骨董店を営むヘススは、今日も孫娘アウロラと一緒…ヘススは、きな臭い客が見ていた天使像に隠されていた"クロノス"を見つけます。

それは、黄金色に輝き、まるで昆虫のような見た目…偶然、"クロノス"を作動させてしまうヘスス。

"クロノス"から飛び出した触手がヘススの手に突き刺さる…その日から、ヘススの身体にはある変化が…アウロラは、祖父ヘススが少しずつ変わっていく姿を見る事になるのです。

一方、"クロノス"の秘密を知るクラウディオは、自らの命が残り少ない事から、永遠の命を得るために、甥アンヘルを使ってヘススから"クロノス"を奪い去ろうとするのです…

ギレルモ・デル・トロの長編映画監督デビュー作となるゴシック・ホラー。

現在に比べると、やや荒削りな部分もあり、洗練されているとは言い難いですが、デビュー作から既にデル・トロ節全開なのは流石です。

物語は所謂、吸血鬼ものですが、人から怪物に至る過程で、ヘススは得体の知れない恐怖を感じつつも、"クロノス"を使う事で得られる高揚感もあり、手放せなくなっていくのです。

それを側で見ている孫娘アウロラ。

本作の肝は、このアウロラにあります。

アウロラは、ある一言を除いて、セリフがありません。
また、殆ど無表情…
アウロラの両親も一切出ませんし、何故、祖父母と一緒に暮らしているのかという説明もありませんが、ヘススもアウロラもお互いの事を深く思いやり、愛しているのは分かります。

アウロラのバックボーンは一切分かりませんが、そこが良いのです。

アウロラが前面に出てしまうと物語は一気にヒューマンドラマになってしまいますから、デル・トロが目指していたのはそこではなかったように思えます。

あくまで、怪物ヘススが、孫娘の一言で人としてのヘススに回帰する物語なのかなと…

にしても、デル・トロとロン・パールマンの関係って、デビュー作からだったんですねぇ。

ロン・パールマンは、デル・トロといい、ジュネ&キャロといい独特の世界観を持った監督さんの作品に出てる時が一番輝いているようで…
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