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テルマエ・ロマエのbutasuのレビュー・感想・評価

テルマエ・ロマエ(2012年製作の映画)
3.0
前半は普通に面白くってニヤニヤしながら観ていた。後半は退屈だったなぁ。

前半は「ローマ人阿部寛」が日本の風呂文化にいちいち感動して涙を流す展開がとにかく面白い。阿部寛の過剰な表情も相まって、観ていて思わず笑ってしまうシーンばかり。タイムスリップももったいぶらずにポンポン起こるので映画として良い感じにテンポが良く、飽きることがない。邦画の割にはローマの風景などの美術もとても頑張っていたと思うし、しっかりと画的に現代日本とのギャップを生み出すことに成功していた。タイムスリップのたびにオペラを歌うおじさんが途中休憩していたり、小ネタもクスリとしてしまう。

ところが後半、上戸彩がローマにタイムスリップした辺りから雲行きが怪しくなる。なんとシリアス路線に舵を切ってしまうのだ。いや「ローマ人阿部寛」「ローマ皇帝市村正親」の世界観でシリアスはどう考えても無理だろう。あんなに気軽にタイムスリップしていたのに急に歴史改変とか持ち出されても。しかもたった一つのエピソードに後半を丸々使うので、とにかくテンポがガタ落ちする。成功するとわかっているくだらない苦悩のシーンほど観ていてつまらないものはない。旅館が潰れそうな件が放置だったのも残念。せっかくローマに行ってきたんだから、その経験を生かして何かする描写とか入れればよいのに。結局「現代日本の技術凄い」っていう話の枠を出ないの、古代ローマに対して失礼な気すらする。古代ローマの凄さを表すエピソードとか入れれば深みが出そうなのに。

もっと話を小さくまとめれば傑作コメディになったかもしれない、非常に惜しい作品。どうして邦画は必ず後半こうなってしまうのだろうか。
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