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クリムゾン・ピークのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

クリムゾン・ピーク(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかく画作りが素晴らしい。どの場面を切り取っても美しいゴシックホラー。屋敷の造形や衣装、照明や色彩の使い方が本当に見事で、観ていてうっとりしてしまう。

そしてこの世界観をリアルなものにしているのが、ジェシカ・チャステインの不気味な美しさ。主人公はミア・ワシコウスカなのだが彼女は田舎娘感が強い(あえてのキャスティングだろう)ので、とにかく屋敷の主としての姉弟の不気味さ、特にやはりジェシカの美しさと演技がこの物語に説得力を与えている。弟のトム・ヒドルストンもゴシックホラーに合わせた見た目と演技に仕上げておりお見事。

正直、屋敷に来るまでの前半はあまり好みではなかった。まず主人公を好きになれなかったのが大きい。小説家を夢見る地に足がついていない金持ちの娘のくせに、周りを見下し、周囲の優しさにも気付かず無下にする。そのくせちょっと小説を褒められるとその相手に入れ込むようになり、まんまと屋敷に連れてこられてしまう。

屋敷に来てからは何度も繰り返されるジャンプスケアによる驚かしにやや辟易しつつも、三人の感情が徐々に変化していく過程がとにかく美しい映像で描かれており見入ってしまった。

そして怒涛の終盤。圧倒的ジェシカの迫力。白い雪と暗い屋敷(映像としては明るいのに色彩が暗いという素晴らしさ)と赤黒い粘土と血のコントラスト。美しく容赦なく物哀しい、ゴシックホラーとして満点の展開だった。スプラッタ描写に誤魔化しがないのも良い。

途中であんなに霊が助けてくれるなら冒頭の母の霊はいらなくない?とか、むしろ父は霊として現れるべきだろ(地縛霊的な感じでその土地にしか居られない設定なのかしら)とか、主人公って脚の骨が折れていて歩けなかったんじゃないの?とか、証拠品を丁寧に保管しすぎだろとっとと燃やしておけよとか、気になるところはてんこ盛りなのだが、雰囲気が良すぎるので「まぁ細かいところはいいか」となってしまう。ただジャンプスケアはもう少しここぞというところに抑えた方が雰囲気を活かせて良かったようには思う。さすがに多すぎ。
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