演じることを意識させる作品。
ドラマにドキュメンタリーがぶち込まれているという作りがおもしろい。ドラマ部分の2人の会話は演技っぽく、ドキュメンタリー部分のそれぞれの告白はリアルな感触がした。
関係性のある人間と人間の間には役割分担がおそらく必ずあり、当事者たちは割り振られた役割に沿って振る舞う。いわば演じているのではないか。
だから、役割分担に重要な変更を加えようとするならば、一方的には決められない。新たな役割分担を互いに理解する必要がある。そうでなければ、演じる芝居がかみ合わない。
この作品の物語も2人の役割分担を壊すようなことを男が言い、2人の関係は瓦解していく。
人間は1人では生きていけないのだとしたら、演じなければ生きていけない、ということなのかもしれない。
ドキュメンタリー部分を入れることでリアルと対比される演技が際立ち、生きるという演技性の理解を促される。