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ニコラの4423のレビュー・感想・評価

ニコラ(1998年製作の映画)
4.5
12歳のニコラは常に不安症を抱え、夢想や空想、妄想癖までもを持ちあわせている。スキー教室に来てもどこか生気がなく虚ろで、ずっと目覚めたまま眠っている。ニコラはこの悪夢から解放されるのだろうか?

フランス映画らしい、多くを語らない突き放した冷たさと、夢と現実とが混ざりあい、徐々に入れ子構造的な複雑さを帯びていく演出が大変素晴らしい。

ニコラがミサンガに祈った願い。そのミサンガが切れた時、彼の魂は解放されたのだと。悲惨な話だが、彼はもう悪夢は見ないのだろうと私は思う。このさりげなく登場するミサンガの存在が本当に上手い。

そういえば私も最近、多重夢、所謂夢の中でまたさらに夢を見ているという体験をしたのだが、なんとも言えない不思議な感覚だったなあ。内容もわりと鮮明に覚えていて、夢の中の夢では晴れているのに、その夢から覚めた夢の中では雨。現実でも雨が降っているという状況が面白い。

こういう、人間が誰しも体感したことがあるであろう夢の中での恐怖や不可解な出来事を媒介にすることで、昔の記憶を呼び覚まし共感しやすさを生んでいるのだ。
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