凛太朗

こころの凛太朗のレビュー・感想・評価

こころ(1955年製作の映画)
3.0
市川崑による夏目漱石の『こゝろ』の映画化作品。
漱石の原作を凄く久しぶりに読んだ結果、私の心に刺さり過ぎて数日は物思いに耽り過ぎていたところでの鑑賞。

まず原作の主要登場人物である私、先生、Kに名前がついている。
何故だかなんとなく違和感があるのだけれど、これは映画だし仕方がないし、私による回想でもモノローグでもないことも仕方がないのでしょう。
それでも映画版は無難に纏められてるのかなという印象で、原作に興味はあるけど読んだこはない、読む時間もないって方には2時間程度で観れるので観てみてもいいかもしれないと思います。

しかし、私は断然原作の方を読んでみることをお勧めします。
映画版は極力原作に忠実であるとはいえ、完全に忠実であるということは不可能。
不可能なのはいいんだけれど、『こゝろ』においての多角的解釈の在り方を削ぎかねない重要であろうシーンが映画では描かれていなかったり、逆に解釈の幅を狭めてしまうような原作にないシーンが追加されてしまっていたり、なんだかなぁ。なんなんだろうなぁ?って感じ。
特にプラトニックな愛であり精神と、明治という時代やエゴイズムとの葛藤という面の描かれ方が薄っぺらいなと感じてしまった。
凛太朗

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