Kai

ゲド戦記のKaiのレビュー・感想・評価

ゲド戦記(2006年製作の映画)
4.0
これが結構おもしろい・・・。
疫病はコロナ、畑仕事はシンエヴァと同じメッセージ。
16年前の作品とは思えない。
いつ見ても新しさを感じる。

僕らの世代観
最初からアレンの陰鬱とした表情が続く。
ゲドに良くしてもらっても、どうにも現実感が持てないアレン。
宮崎駿は、自分と他人・人間と自然など2者をハッキリ分けて描くが、宮崎吾朗のゲド戦記は、自分の影との対峙を描く。
この吾郎の感覚が僕らの世代に近い感覚なのだと思う。
「永遠に生き続けるものなどありはしない」と諭すゲドの言葉が若者に刺さるというのは、そういうことなのかなと。

魔法が使えない時代
資本主義はここまで来た。
金という目に見えるものが重要視されるこの世界では、占い師や魔法使いは失業し、やがて人間も商品として目をつけられて奴隷が流行する。
貧乏人という負け組は、ひと時の快楽を求めてハジアに手を染める。
人間が生み出した伝説の象徴、龍は死んだ。

演技が上手
キャラクターや演技に既視感はあるけども、いきなり監督を任されてこれを作れるのはやっぱり只者じゃない・・・。
アニメーションがただ上手いだけじゃなく、駿同様に官能性ある動きがあって惹きつけられる。
アクションシーンなんか特に。

宮崎吾朗がこの作品で絵コンテを初めて描いたとき、上手すぎて現場のアニメーターは、父の駿が描いたものだと勘違いしていたとか。

前回:2021/3/21
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