Kai

そして父になるのKaiのネタバレレビュー・内容・結末

そして父になる(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

語る余地がありすぎて到底書ききれない。
タイトル通り父親に見てほしい映画。

■そもっそも・・・
私的意見。
この映画のような問題が発生する大きい原因が2つあると思ってる。
・子供を血のつながった両親に戻す必要ある?
 結婚などと同じで戸籍上の証明の話でしかないよね。
 史実は昔の話だから仕方ないのかもしれないけど、大人4人の意見が社会に囚われすぎていると感じる。
・日本(世界かな)に教育体系がない。
 ようやくモンテッソーリ教育だとか、一般人が知れるようになったけど、大抵の親はそもそも子供を育てるという大変重要な過程について誰からの教育も受けてないし、親から受けた教育しか見たことがない。
 2つの家庭にお金以外の差が生まれる要因である。
 どの家庭においても子供が喜びを得られる「教育の教育」が必要。

■斎木家は斎木家で大変でしょ
お金はないけど幸せはあるって、そんなありきたりな・・・。
合理性を求めがちな野々宮が、感情的になることは少なそうだが、斎木家で感情的に怒られたりされることは実際にはあるでしょう。
貧乏人は金持ちと違って1つのミスで飯食えなくなるのだから、1つのミスでぶん殴られてもなーんにも不思議ではない。
映画としての都合上、省かれているだけかなと。

■父親という呪い
厳格な父親に育てられた野々宮は、世の中が自分の思い通りにならないことを知っている。
だから、世の中を納得させるんじゃなく、自分を納得させなきゃいけない時があると考える。
そして、父のように強く大きい人間になるために前進しつづけてきた。

父親にされた血のつながりの話を「そんな簡単じゃないんだ」と切り捨てておきながら、すぐに同じ話を人にしていた。
彼は、今も父親を尊敬し、父親に呪われている。
ファザコンは、単語としても出てきたが今作の重要なテーマ。

■「やっぱりそういうことか」
息子ケイタが他の子どもだったらどうとか、考えたことはなかったし、そもそも息子を取り替えたいなんて思ったこともなかったはず。
しかし、取り替えなきゃいけない時が来てしまった。
その時、社会が望み、進むべき道がそれなら選ばざるを得ない。

「ドンッ・・・(優秀じゃないのは)やっぱりそういうことか」
息子を邪険にする冷たい人間のように聞こえるが・・・
自分を納得させるために出た言葉のように思えた。
自分のように優秀じゃないのは自分と血が繋がっていないからだと、自分に言い聞かせて社会の決め事を無理やり納得するための言葉に思えた。
Kai

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