えるうっど

白夜行のえるうっどのネタバレレビュー・内容・結末

白夜行(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

幼い頃の性被害によって、どうしようもなく心と人生を歪められてしまった少年少女の物語。

「キレイな顔をした怪物」、「のし上がるために手段を選ばない冷血漢」は嫌いじゃない。
美貌と、明晰な頭脳と、人の心を操ることにかけて本能的な勘を兼ね備えた雪穂は、どん底の生活からのし上がっていく。
ただ、邪魔な女を排除するために選ぶ手段が必ずレ●プだというところが……その行為が最も効果的に相手の尊厳を叩きつぶすということを、自身の実体験から知っていたからだろう、と思うと切ない。

これは雪穂のモンスターぶりを描くための映画だった。
彼女のために数えきれない罪を犯してきた亮司の死にざまを見ても、「わたしは何も知らない」とつぶやき、野望のための歩みを続ける彼女の姿に、ゾクッとした。

亮司がなぜ雪穂のためにそこまで尽くすのかがわかりにくかったし、最後に死を選ぶ理由も釈然としなかった。
刑事が、定年を迎えても、なぜ彼らの「事件」にこだわり続けたのかもわからなかった。「親子になろう」と刑事が亮司に向かって叫ぶくだりも、バックグラウンドの説明が足りていないので唐突だと感じ、いまいち入り込めなかった。
ただ雪穂のヤバさだけが強く印象に残った。
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