しゅんろっく

アリスの恋のしゅんろっくのレビュー・感想・評価

アリスの恋(1974年製作の映画)
3.8
アマプラのレンタルセールで鑑賞。初見。BLACKHOLEでスコセッシの特集をやるということで、また10月にはデニーロ&デカプリオ主演の新作が公開されるということで、しばらく未見のスコセッシ作品を追いかけてみることに。
原題と前半の展開から、とても悲劇的なラストを迎えると想像していたが、全然そんなことはなく、しみじみと良い作品だった。
主演のエレン・バースティンは、80年代育ちにはあまり馴染みのない役者さんだが、「エクソシスト」や「ラストショー」等、映画史に残る重要な作品に出演していて、生粋のアクターズスタジオ育ちの俳優であるとのこと(現在は学長らしい)。彼女の映画とも言える。この作品での仕草や台詞回しは、なんとなくカサベテス作品のジーナ・ローランズとかぶった。
その他にも、ハーベイ・カイテル、ジョディー・フォスター、クリス・クストファーソン 等、みなさんの存在感と演技が素晴らしい。
リアルな暴力描写やワンカットのロングショットなど、その後スコセッシのシグネチャーとなるシーンも多数あり、その点でも、長年彼の作品を見続けている自分にはとても楽しめた。
よく考えたら、このような「女性の自立をシングルマザーの視点から描く」といった、現在においてより重要となっている主題を、今から50年近く前に形にしていたスコセッシはすごい。スピルバーグ同様、彼も予見者なのだろう。