KANA

アリスの恋のKANAのレビュー・感想・評価

アリスの恋(1974年製作の映画)
3.8

スコセッシの初期作品。
女性が主人公、舞台もNYでなく南西部の町という異色作。

幼い頃歌手を夢見ていた中年のアリス(エレン・バースティン)が、突然の事故で(DV)夫を亡くしたのをきっかけに、音楽の町モントレー(CA)を目指して12歳の息子トムとともに旅をするロードムービー。

大きな柱として『テルマ&ルイーズ』みたいな、"男性に頼らずにイキイキと生きようとする女性像"は確かにある。ウーマン・リヴの時代らしく?
が、肌感としてはそんな骨太さよりもアリス&トムのグダグダ、わちゃわちゃな母子関係がとても微笑ましく印象に残った。

エレン・バースティンが感情表現豊かでナチュラルですごくいい。すき!
これでオスカー獲ってるのも納得。

トムはそのか弱いルックスとは裏腹に、小生意気でおしゃべり。
でもアリスにとっては寂しさを紛らわせてくれたりして、まるで小さな彼氏なんだよね。いや、アリスが少年化してるところもあるかな笑

途中まとわりついてくるサイテー男をハーヴェイ・カイテルが演じてて若い!
あとトムと仲良くなる子を演じるジョディ・フォスター、声といいてっきり美"少年"かと思った。

行く先々のモーテルはどれも寂れてるけど、親子の温もりでほっこり。
ドライブ中にゆったり流れるエルトン・ジョンのDanielが荒野の背景とともにノスタルジック。

アリスがウェイトレスとして働くダイナーでの日常的な描写もとてもよかった。
女同士のケミストリーあるある。
器の大きい男性デイヴィッドと出会う場という以上に本筋と関係ないシーンが多いけれど、同僚や客の人情たっぷりで退屈はしない。

シナリオとして上手くまとまってるかは置いといてw、親子愛と女性の友情、そして古き良きアメリカの名残りみたいなものを終始香ばしく味わえる作品だった。
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