KANA

エイリアンのKANAのレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
3.9

SFホラーの金字塔を改めて。

久しぶりに観たら、怖いというよりかなりアーティスティックな作品だな〜と思った。

不穏な音楽で緊張感を持たせながら、じっとりヌメ〜っとその世界観に導くオープニング、勿体ぶってて好き。
段々と文字になるタイトルロゴアートがさりげなくスタイリッシュ。

前半は宇宙船ノストロモ号の船内をワクワクしながら堪能できる。
インテリアデザイン、リドリーは絶対『2001年〜』を意識してるよね。
冷凍睡眠の設定なんかもSF好きにはたまらない!

未知の惑星で宇宙船を見つけ探索するシーンはかなりなディストピア感。ゾクゾクする。

待ちに待った?主役エイリアンの登場から、無機質で静謐に見えた空間が陰湿なグロテスクテイストにどんどん侵食されていく!
『遊星からの物体X』や『ザ・フライ』にも派生していったと思われるヌメヌメした内臓感覚のキモグロデザインは、シュールレアリスムの画家であるH・R・ギーガーによるもの。
成体より卵〜幼体のほうがシュールレアリスムしてて右脳が反応する。
横たわるケインの顔に張り付いてる画。これをシュールと言わずしてなんと言おう?w
アンドロイドと判明したアッシュの体内(首)の配線や、白い液体が滴る頭部だけで喋る演出もそう。

でも、成長するエイリアンのどのフェーズのカットもチラ見せ止まりで長くは見せない。
カメラ視点もすごく近視眼的で、何が起こってるのか俯瞰できない。
自分もリプリーたちと一緒にこの閉鎖空間に閉じ込められてるような感覚に陥り、ますます不安に。
その点まさに古典的ゴシックホラー。

いろいろメタファーっぽく男性性を充満させといて、
終盤は覆すように女性のシガニー・ウィーバーに花を持たせるバランスも素晴らしい。

リドリーは後年、シリーズのフランチャイズ化に関して
「第1作目を超えることはない。それだけは言える」とコメントし、
出世作となった本作への自信と誇りを持ち続けている。

とりあえず2も再見したい。
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