MasaichiYaguchi

HOUSE ハウスのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)
3.7
大林宣彦さんの初の劇場用映画監督作品を映画館で観た時は、恰もおもちゃ箱をひっくり返したようなポップな色彩とシュールな展開、そして当時「ハウスガールズ」と呼んでいた個性豊かな美少女達に胸がドキドキしたことを思い出す。
今回見直して、一つ一つのシーンに何らかの特殊撮影をはじめとした映像技術が用いられているのに気付かされた。
今の3DCGによる合成映像と比べると、どうしても“差”は出てしまうが、大林監督は、シーンによっては敢えてチープかつシュールな表現を“確信犯”的に行っている。
それにしてもキャストが豪華でバラエティーに富んでいると思う。
今でも第一線で活躍している主演の池上季実子さん、共演の大場久美子さん、音楽も担当して出演した小林亜星さんとゴダイゴ、音楽には関わっていないが、結構重要な役で尾崎紀世彦さん、そして本作品の“裏の主役”と言える役柄で南田洋子さん、更に意外なところで作家の笹沢左保さん、そして気付いた人もいると思うが、監督自身もある場面に登場する。
この作品は、これらの要素だけでなくパロディーがてんこ盛りだ。
東宝で配給された映画だが、役名といい、所々に挿入されるシーンや台詞に、今でも残っている商品名や他社の映画会社のパロディーを使っていて、よくOKが出たものだと思ってしまう。
恐らく本作は、大林監督の世界を知る入門編として尾道三部作同様に良いと思う。