願いを叶える不思議な金魚と人間の醜さを炙り出したダークなおとぎ話のようで紙芝居形式の短編作品。
貧しく年老いた漁師が、助けてやった金色の魚から願いを3つ叶えてくれると約束される。
漁師の妻は富を持ち、王国を支配して君臨したいと思い彼に願いを要求をする。恐ろしい程傲慢で邪悪になり権力に憑りつかれる妻。願いを叶えるごとに海は荒れ、魚の姿がグロテスクに変化していく。その様は人間の醜い欲望の権化のようで何とも言えなくなる。
「今度は奥さんは何になりたいのか」「彼女は神になりたいんだ」
ますます尊大になる願いに逆らえない漁師は、弱者を食い物にしている世界の縮図のよう。
空虚に包まれ、瓶に戻るという素晴らしいラストで幕を閉じる。