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金の魚のBONのレビュー・感想・評価

金の魚(1951年製作の映画)
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願いを叶える不思議な金魚と人間の醜さを炙り出したダークなおとぎ話のようで紙芝居形式の短編作品。

貧しく年老いた漁師が、助けてやった金色の魚から願いを3つ叶えてくれると約束される。

漁師の妻は富を持ち、王国を支配して君臨したいと思い彼に願いを要求をする。恐ろしい程傲慢で邪悪になり権力に憑りつかれる妻。願いを叶えるごとに海は荒れ、魚の姿がグロテスクに変化していく。その様は人間の醜い欲望の権化のようで何とも言えなくなる。

「今度は奥さんは何になりたいのか」「彼女は神になりたいんだ」

ますます尊大になる願いに逆らえない漁師は、弱者を食い物にしている世界の縮図のよう。

空虚に包まれ、瓶に戻るという素晴らしいラストで幕を閉じる。
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