Rii

パリ、テキサスのRiiのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.7
当初、主人公がアメリカの大自然の中をただただひたすらに歩き続けるような、そんなストーリー、ロードムービーをイメージしていたら、180度全く持って違って、こんなに最後心が締め付けられると思わなかった。

感想を一言で言うと、「それぞれに、つよく共感する」映画だったかなと。こんなにも登場人物全員の苦しさやもどかしさや嬉しさに平等に共感したのはなかなかないかも。

だからこそ、育てた弟夫婦の気持ちはどうだったんだろうとか、
エンディング以降どうなったんだろうとか、
マジックミラーで語るときの心境、自分だったらどうなんだろうとか
ひとつひとつ考えすぎたけど。

感想うまく言えないんだけれど、
育ての親と実の親それぞれの愛、
(これはある種の社会へのメッセージな気がしている、そしてその回答は観る人に委ねられてるとも思う)
親子の愛、夫婦の愛、兄弟の愛、…たくさんの愛を感じた映画でした。

そして最後に余談を言うとすれば
ジムジャームッシュの映画が好きなわたしにとって
この時代のアメリカの汽車の音がすごく好きなのと
バックミュージックの雰囲気がとても好きです。
汽車の音というより、汽笛の音、なのかな?

こういう静かでゆっくり気持ちを揺さぶられる映画を観てから、深夜に部屋のベランダから、夜の街のネオンと、街灯に照らされた道路を走る数少ないタクシーを眺めるのがすごく好きです。
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