ももみ歌と映画とアート

パリ、テキサスのももみ歌と映画とアートのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.0
初ヴェンダース作品。喪失と希望。そして鮮やかな色彩の画がとても美しい作品でした。心温まるロードムービーであると同時に、捉えどころのないトラヴィスが抱える哀しみが徐々に明かされ目が離せません。

夢想しがちな男性が愛しすぎると、感情を制御出来なくなり破滅に向かう。深い愛で待ち続ける女性も疲弊には勝てない。深く愛し合っていても男女の間には取り返しの付かないことがあると、今は理解出来ます。だからこそ残された幸せが続くことを祈る気持ちになりました。

特に良かったシーン…
・ロスの高台にある弟ウォルトの家の庭からの眺め。飛行機が間近に飛び、昼も夜も美しい。靴を並べるシーンも良かった。
・ラスト、トラヴィスが赤・青・緑の美しい3色の夕闇の中で、ホテルの上階の窓を見上げ2人の再会を見届ける。とても沁みました。

俳優について
・地獄の黙示録にも出演していたオーロール・クレマン。ナスターシャ・キンスキーと好対照で、控えめで上品でやはり好き。
・美しい金髪のハンター役のハンター・カーソン。無邪気でこましゃくれた感じがとても可愛かった。子役で終わったのだろうか…