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パリ、テキサスのxyzのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
3.9
20数年ぶりに観た。
大人になって分かったことが沢山あった。


トラビスってダメな男だ。甲斐性がない。ナイーブ過ぎる。身勝手で周りを不幸にしてる。ウォルターには迷惑かけて、ハンターを息子同然に思ってるアンからはハンターを引き離し、ジェーンに対しては感情をコントロールできなかった過去があるし。特にハンター、せっかく距離が縮まって懐いたのに結局去ってしまう。子どもが一番可哀想だ。
けど、最後にジェーンと引き合せたのはトラビスの精一杯の愛と優しさだ。


外国人が撮った日本が、日本人が撮る日本と明らかに違うようにRobby Mullerが撮るテキサスは何かが違う。一番は色味かな。(ミステリートレインもそうだ。)
駐車場からトラビスがホテルを見ているときの黄昏時の空の色、オレンジから濃紺へのグラデーションが美しくって刹那くてたまらなくなった。

Ry Cooderの張り詰めたギターがテキサスの乾いた空気感を増幅してる。優しいギターが切なさを増している。Ryのギターがなかったらこの映画は成り立たない。


トラビスにはシンパシーを感じる。
「誰も自分を知らない無人の荒野 言葉を忘れ道すらない土地へ」
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