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パリ、テキサスのnobiiitaのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.0
クソクソクソ男だった。
トラヴィスの、愛しすぎて一緒にいたいから仕事しないとか、それで不安にかられてる妻に勝手に不信感を抱いて当たり散らすとか、そういうヤク中じみた感情の発露と衝動に、元妻ジェーンも息子ハンターも弟夫婦も振り回されて、全部お前が発端だろうが!と。なに被害者ぶってるのよ!

でもなー、それが人間的なんだよな、そんな身勝手さこそが人間なんだよな、4年もの間廃人同然にさすらってしまうほどの苦しみを負ってたのかな。とか、そんな感情を揺さぶられる、悔しい。
ひとえに映画のストーリーの運びの巧みさなんだろうな。

映像や音楽のかっこよさなんかに騙されないんだ!
女や子どもが、いつまでも美しく男を想って待っているとおもったら大間違いだ! これって男のお花畑的妄想話よね。

とか腐しつつ、ずっと観たかった映画。観てよかった。
教訓などでなく、シンプルに個々の好き嫌いや快不快といった感情を否応なく発動させられる、つまりは自己を投影してしまうような、それこそが映画鑑賞の楽しみでもある。

ジェーンの気持ちをおもうと、トラヴィスとのガラス越しの対面から息子との再会まで、ラストは涙が止まらなかった。
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