ネタバレ
一人の男と姉妹を軸とした壮大な悲哀劇
あらすじからはドロドロネチョネチョの色恋沙汰しかイメージできずそれだけでゲソゲソ状態だが、入りの気分がネガなほど予想外にいい作品だと嬉しくなるというもの。
観終えての感想は大いなる感動ということはないけれど、しみじみとした悲哀に浸っている。
四国高知が基本の舞台ながらこじんまりと小さくまとまることなく、横のワイド感と縦のダイナミック感が結構感じられる壮大な叙事劇となっていた印象。
序盤で姉:十朱幸代が地方で芸子仕事している最中に妹:秋吉久美子に手を出すなど、ショーケンはひでぇ奴だなと苦笑していたが、以降の姉妹愛憎劇ややくざ同士の抗争劇はただただ痛々しい気分にさせられる。それぞれが逃れようのない輪に絡めとられ、どうにも救いようがないような・・・
クライマックスの〝痛い”場面は全く予想外だったので、さらに沈痛な気分にどっぷり落ち込む。
ヒロインが満州にて足取りを掴めなくなるというエンドもエレジームービーの〆として相応しかったと言えるのかもしれない。
音楽は時代がかった古臭さはあるがよくマッチしていた。
特筆すべきは映像。全部がというわけではないけれど、黄と赤の紅葉を切り取った画や、北の荒れる海を背景に十朱が歩いている画など、おおっとなる美と迫力が感じられた。
俳優陣も監督の望んだとおりの演技をされていたように見受けられた。
個人的には秋吉久美子の儚げな演技が心に残っている。
3.8の四つ星
SLファンであれば蒸気機関車の迫力ある絵も見所になっただろう。
002011