椎蕈

パーフェクト ワールドの椎蕈のネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ブッチは子供時代のトラウマのせいで子供に優しいけど、決して善人として描かれてなかったのが良かった。
根っからの悪人ではないけど、善人でもない。
結局その答えが劇中で出ないまま終わったのが良い。
フィリップを含め数人から良い人とは言われてるけど、警察側や自分自身では否定してるし。

逃走中も色々やってるし、母親を虐待した男とフィリップを襲ったテリーみたいな悪人を殺してるとしても、人も殺してるから法的に悪であることは間違い無いんだけど、どっちも人の為にやった事だし根っからの悪とは言えないのがちゃんと描かれてるのが好き。

車を取り返そうとした老人に銃を向けたり、ピクニックをしていた親子に「抵抗してたら殺してたかも」とか言ってたり、最後のお爺ちゃんと孫のところでは殺す一歩手前まで行ってたから若干矛盾してるようにも感じるけど「本当に殺す気はなかった」って言ってるし、あくまでどれも脅しとか本心じゃないんだと解釈してる。

映画では珍しい事じゃないけど、最後に冒頭のシーンに繋がるのが良かった。
ブッチが満足そうな顔をしていた理由も回収される。
フィリップが報われはするけど、少し胸糞の悪さも残ってしまうバッドエンド感もあるビターエンドだった。

どんな理由があれど人を殺しているからブッチは報われなかったんだと思うけど、フィリップに父親の手紙を託していたのが唯一の救いだったと思う。
いずれフィリップがブッチの目的を果たしてくれるかもしれない、少し救いのある終わりなのが好き。
椎蕈

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