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LOFT ロフトのJAmmyWAngのネタバレレビュー・内容・結末

LOFT ロフト(2005年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

まるで、と言うよりもむしろあからさまに凡庸で、陳腐ですらあるような文語が発話される瞬間の、声と身体が分離した言文不一致性とでも言うべきズレがズレるがままにズレていて、「ギャー」という叫びですらリアリスティックな肉体性から独立しているのだからもう大したもんだと思う。

トヨエツの演技が熱を帯びれば帯びる程、エモーションが高まれば高まる程にそのズレは拡大していくワケであって、ズレそのものとその膨張を認識する事によって引き起こされる微妙な笑いは、ミイラに対する「動けるなら最初からそうしろよ!」で遂にピークに達したのかもしれない。

ただこの台詞については、極端な振り切りによってむしろ言葉と感情と身体性が強烈に結託を果たしていると僕は思うのであって、このような瞬間を目撃できたのはとても喜ばしい事だなあと素直に感じたワケではあります。

そもそも小説家である中谷美紀自身が、執筆という行為に対する主体的な揺らぎを抱え込んでいる事があの手この手で示されているのでありますから、こうした一連の分離性というものは結局彼女の表象としての世界なのかもしれない。

最終的に中谷美紀は自らの分離を再び統合した風だったけど、それでも世界は極端な言葉と身体性によって相変わらずズレたままなのであって、だからこそラストシーンはもう盛大に「イエーイwww」で迎え入れてもいいんじゃないかと僕は思いましたし、なんかよく分からないけど「キヨシのズンドコ節」ってこういう事なんじゃないかなって。
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